to English site

次代の人材を育む学会に

日本高圧力学会会長  青木勝敏(日本原子力研究開発機構)

青木会長近影日本は若手研究者の宝庫です。高圧力科学と技術に関する国際会議,AIRAPTが昨年9月,シシリア島のカターニアで開催されました。カターニアは都市としての歴史がギリシャ時代に遡り,多くの史跡がいまだなお保存されており,物理学者・数学者であるアルキメデス生誕の地でもあることから,海外から多くの参加者がありました。日本からの参加者数は80名にも及び,その数は突出していました。とりわけ大学院生を含む若手研究者の多さは,他の国の参加者から注目され,羨まれるほどでした。10年後には世界のトップを極める,あるいはフロンティアを開拓するリーダーが日本から続々と輩出する,そう想像することは楽しいことです。

本学会は人材の育成に大きな貢献ができる学会です。同分野あるいは異分野の研究者の交流の場である学会は人材育成の場として重要な役割を担っています。そこでの議論に発奮し,あるいは激励されて研究が急速に進展することがしばしばあります。そのような経験を積み重ねて研究者が育って行く。本学会は会員数約600人の比較的小規模な学会ですが,若手を含めて会員の皆さんの顔が見え,声が聞こえることから,適切な規模と言えましょう。多種多様な分野を高圧力という一本の串を通してまとめた学会ですから,異分野との交流が容易に,活発にできる環境が自ずと整っています。人材を育てる場としての学会の役割は今後,ますます重要となるでしょう。

一年半後2009年に東京で,高圧討論会とジョイントで開催されるAIRAPT-22は人材育成の絶好の機会と位置づけられます。国際的な学会の情報交換は学会創立の趣旨のひとつとして謳われております。1997年,京都で開催されたAIRAPT-16での経験を活かしながらも,次代を担う若手の皆さんには準備段階から積極的に参加して頂き,この国際会議を成功させたいと考えています。2009年は高圧討論会50回目の節目を迎える年でもあります。若手が育ち,新しい研究が芽吹く,よりアクティブな討論会を目指して,討論会の在り方を整理したいと考えています。

人材育成をキーワードに,評議員,幹事の皆様の助けをお借りしながら2年間,全力で学会運営に当たる所存です。会員の皆様のご支援をお願いいたします。

〒679-5148 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1 日本原子力研究開発機構量子ビーム応用研究部門
Synchrotron Radiation Research Center, Japan Atomic Energy Agency, Kouto 1-1-1 , Sayo, Sayo, Hyogo 679-5148, Japan

《高圧力の科学と技術 第18巻第1号(2008年2月20日発行)巻頭言》


→ 以前の「会長の挨拶」へ

日本高圧力学会事務局
kouatsu_office(at)highpressure.jp