実行委員長のごあいさつ

 第58回高圧討論会を愛知県名古屋市の名古屋大学で開催することになりました。この地で開かれるのは3回目になります。1回目はちょうど50年前の1967年の第9回討論会ですので、何と半世紀も前のことです。2回目は8年後の1975年に開かれた第16回で、当時は名古屋城近くにあった産業貿易館西館で開催されました。それから約40年という長い歳月を経ての開催であり、名古屋大学での開催は初めてとなります。
 名古屋大学ではかつては高圧科学に関する研究が盛んであり、地球科学・固体物性・固体反応等の多岐にわたる研究グループがありました。特に、地球科学の研究グループからは、現在の日本の高圧科学を支えている多くの人材を輩出しています。また、1970・1980年代当時で世界最大級の17000t大型プレスが設置されておりました。このように、当時の名古屋大学は高圧研究の国内の1つの拠点であったと言っても過言ではありません。そのため、高圧討論会を初めて名古屋大学で開催できることは意義深いことだと考えております。残念ながら、上記大型プレスそのものはすでに存在しませんが、当時の面影を残す空間は現存しており、今回の討論会の特別会場とする予定ですので、是非ご覧ください。
 名古屋市はご存知の通り、歴史上の人物として誰もが知っているいわゆる三英傑に深く関わる地です。さらに歴史を遡ると、鎌倉幕府を開府した源頼朝生誕の地や日本武尊に纏わる草薙御劔を祀る神宮など、多くの歴史的名所・文化遺産があります。また、味噌煮込みうどんやひつまぶしなどに代表される名古屋めしと呼ばれる味は、他所にない独特の食文化です。一方で、この地は、自動車・航空機・電車等の輸送機器、マシニングセンタ等のNC工作機械、金属・セラミックス・カーボン系材料等の産業の集積地であり、世界有数のもの造り産業地域の1つです。大企業だけでなく、高圧技術とも関係する金型企業など、特徴的なオンリーワン企業が多数あります。市内・周辺には多くの産業博物館もあります。そこで今回の討論会では、高圧力と工学や産業との関わりを考える良い機会になればとも思っております。名古屋はこのように様々な面で魅力のある個性的な都市ですので、滞在中は十分にお楽しみ頂けると思います。
 今回の討論会では、高圧力学会の財政と活性化を念頭に置き、様々な点に挑戦してみます。会場、企業・研究室宣伝、シンポジウム、発表分野などで新たな試みを致します。また、地下鉄名古屋大学駅はキャンパス内にあり、会場までは駅から徒歩数分という利便性に優れます。前回と異なり少人数の実行委員ながら精一杯努力する所存ですので、何卒多くの皆様方の積極的なご参加をお願い申し上げます。

第58回高圧討論会実行委員長 長谷川 正
(名古屋大学大学院工学研究科物質科学専攻)

《高圧力の科学と技術 第27巻第1号 会告》より転載

実行委員会

実行委員長
長谷川 正(名古屋大学)
実行委員
丹羽 健 (名古屋大学)
新井 史人(名古屋大学)
渡邉 信久(名古屋大学)
永江 峰幸(名古屋大学)
Mirabbos Khujamberdiev(名古屋大学)
佐々木 重雄(岐阜大学)
久米 徹二(岐阜大学)
藤澤 哲郎(岐阜大学)
松岡 岳洋(岐阜大学)
川崎 晋司(名古屋工業大学)
小林 玄器(分子科学研究所)
近藤 忠 (大阪大学)